第17条 (前借金相殺の禁止)
1 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
この条文は、簡単に言うと、これは「会社が、労働者が前借りしたお金を、給料から一方的に差し引いてはいけない」というルールです。この法律は、労働者が会社からお金を借りることで、辞めたくても辞められない状況に追い込まれることを防ぐために作られました。つまり、会社が労働者を「お金の貸し借り」で縛りつけることを禁止しているのです。たとえ、あなたが会社から「前借り」としてお金を借りていたとしても、会社はあなたの同意なしに、その借金を給料から差し引くことはできません。
Q1:給料の前借りはできるか?
A:給料日前に働いた分の賃金を受け取る「給料の前払い」は、法律上も問題ありません。 労働基準法第25条には、非常時(出産、病気、災害など)には、会社が給料日前に労働者の請求に応じて、既に働いた分の賃金を支払わなければならないと定められています。一方で、まだ働いていない分の賃金を、給料日前にもらうことは「前借り」にあたります。これは法律で禁止されているわけではありませんが、会社がこの借金を給料から一方的に引くことは、第17条で禁止されています。
Q2:給料から借金を差し引くのは、すべて違法なのか?
A:会社が給料から差し引けるのは、主に以下のものです。
・税金(所得税、住民税)
・社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険)
・労使協定で定められたもの(社宅費、財形貯蓄など)
これら以外で、会社があなたの同意なく借金を給料から差し引くことは違法です。
まとめ
税金や社会保険料など、法的に認められたもの以外で給料から差し引かれる場合は、違法の可能性があります。・労働契約の不履行: 労働者が「会社を辞める」「無断欠勤をする」など、契約通りに働かなかったり、会社に損害を与えたりする行為を指します。労働基準法第17条は、会社が給料から借金を一方的に差し引くことを禁止しています。会社が従業員を「お金の貸し借り」で不当に縛りつけることを防ぐための重要なルールです。