第3条 (均等待遇)
1 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
(条文解説)本条は、日本国憲法第14条第1項が定める「法の下の平等」の精神を、労働分野において具体的に実現するための規定です。特定の理由に基づく不合理な差別を禁止し、すべての人に公正な労働機会と条件を保障することを目的としています。労働者が生まれ持った属性や、思想・信仰、出身階層などによって、労働条件において不利益な扱いを受けることを防ぐための労働者保護の根幹をなす条文です。
本条で差別が禁止される「労働条件」は、以下の通り広範に解釈されます。
・賃金
基本給、各種手当(家族手当、住宅手当など)、賞与(ボーナス)、退職金など、労働の対価として支払われるすべてのものを指します。
・労働時間
所定労働時間、休憩時間、休日、休暇、時間外労働(残業)など、労働者が拘束されるすべての時間を指します。
・その他の労働条件
採用、配置、異動、昇進、教育訓練、災害補償、福利厚生(寮、社宅、保養施設など)、解雇など、労働者と使用者との関係において発生するあらゆる事項がこれに該当します。
なお、本条で禁止しているのは不合理な差別的取扱いです。つまり、差別的取扱いであっても、それが業務上の合理的な必要性に基づいている場合は、本条違反とならない可能性があります。