労働基準法解説 ~第9条(定義)~


第9条 定義
1 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

この条文は、労働者の定義条文です。
職業の種類を問わず
→ サラリーマン、工員、アルバイト、パート、派遣、日雇い、芸術家など、職種や雇用形態を問わないという意味です。
事業又は事務所に使用される者
→ 「使用される」とは、使用者(会社や事業主)の指揮命令のもとで労務を提供すること(雇用関係あることを指します)をいいます。単なる取引関係(例:請負契約)では「使用される」とは言いません。
賃金を支払われる者
→ 賃金は、労働の対価として支払われる金銭やその他の経済的利益を指します。現金だけでなく、通勤定期や住宅提供なども含む場合があります。

なお、この定義は形式上の契約名ではなく、実態で判断されます。言い換えれば、契約書上は「業務委託」や「個人事業主」と書いてあっても、実態が以下のようであれば「労働者」と認められることがあります。(いわゆる偽装請負)

  • 勤務時間や勤務場所が指定されている
  • 業務の進め方について指揮命令を受けている
  • 代替で他人にやらせられない(自分で必ず働く必要がある)
  • 成果ではなく時間や労務の提供に対して報酬が出ている