Q:社員に所定休日出勤を命じた代わりに代休を付与しました。この場合、所定休日出勤させた日の賃金は割り増し賃金の対象となるのでしょうか?
A:代休の状況によって答えが異なりますので、状況別に回答します。
1. 同一週内での代休付与(振替休日に該当する場合)
事前に所定休日と他の労働日を入れ替える形で行えば、これは「振替休日」にあたり、休日労働は発生しません。したがって、その週の総労働時間が40時間以内であれば、割増賃金は不要です。ただし、振替後の労働日が8時間を超える場合や、その週の合計労働時間が40時間を超える場合は、その超過分に対して時間外割増(25%以上)が必要です。なお、事前の振替指定や就業規則上の根拠がない場合は、振替休日として扱えず、休日労働と判断されます。
2. 同一週外での代休付与(休日労働の後に休暇を与える場合)
この場合は、法律上の「休日労働」が発生しており、代休を与えても休日労働の事実は消えません。所定休日であれば、週40時間を超える分に時間外割増(25%以上)が必要です。仮にその所定休日が法定休日にあたる場合は、労基法37条に基づき、労働時間のすべてに対して休日労働割増(35%以上)が必要です。代休は休日労働の代償として休暇を与える制度に過ぎず、割増賃金の支払義務を免除する効果はありません。