労務相談Q&A 専門業務型裁量労働制の適用についての手順について

Q:専門業務型裁量労働制は、令和5年の省令改正により、適用する場合に労働者に制度の説明をして個別の合意を得なければならなくなりましたが、具体的にどうすれば良いのでしょうか?

A:専門業務型裁量労働制とは、実際の労働時間ではなく、当該業務に就労した時間を「あらかじめ決めた時間数労働たしとみなす」制度です。この制度を適用しようとすると、まず過半数労働組合(または過半数代表者)と労使協定を締結する必要があります。締結すべき事項は以下の通りです。
①対象業務
②1日のみなし労働時間
③対象業務の遂行の手段や時間配分の決定に関して、使用者が具体的な指示をしないこと
④健康福祉確保措置
⑤苦情処理の措置
⑥労使協定の有効期間
⑦労働時間の状況などについて、労働者ごとの記録を保存すること
⑧適用にあたり対象労働者の個別の同意を得る事
⑨上記の同意がないときも不利益な取り扱いをしてはならない
⑩同意の撤回の手続き

このように、この制度を適用する場合は、当該対象労働者から個別の同意を得なければなりません。対象業務の遂行にかかる労働の裁量を与えるということは、その労働者に一定以上の業務スキルと自立的な自己管理が求められます。誰にでも適用できる制度ではありません。本人が望まないにも関わらず無理に導入することは、本制度の趣旨を逸脱していると考えれます。