Q:管理監督者の立場にある従業員がおりますが、責任ある立場のため業務繁忙期は自ら率先して業務を行っており過重労働になっていると見受けられます。このような場合、労働時間、休憩、休日の規定が適用されない管理監督者に対して、業務制限の指導をしてもよいのでしょうか?
A:管理監督者とは、労働基準法第41条2号に定める「労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外者」を指し、経営者と一体的な立場で業務運営に関与する者を意味します。ただし、これは労働時間規制の適用が除外されるに過ぎず、労働安全衛生法や健康確保の観点からの配慮義務まで免除されるわけではありません。したがって、管理監督者であっても、長時間労働が常態化すれば健康障害リスクが高まり、労働災害やメンタル不調の原因となります。使用者には安全配慮義務(労契法第5条)があるため、労働時間の状況を把握し、必要に応じて業務量や勤務体制を調整することが求められます。
よって、過重労働が見られる管理監督者に対しても、業務制限や負荷軽減の指導を行うことは可能であり、むしろ安全配慮義務・健康管理義務の観点から必要な措置といえます。管理監督者という地位は「時間規制の適用除外」を意味するものであって、「無制限の労働を強いることを容認する制度」ではありません。
補足として、労働基準法第41条2号に定める「労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外者」規定では、「深夜業」の規定は排除されていません。つまり、管理監督者であろうと「深夜業」を行った場合は、深夜業の割増賃金を支給しなければならないことに注意が必要です。