厚労省から提出された年金制度改正法案が5月30日に衆議院を通過し、成立する見込みとなりました。改正項目は多岐にわたりますが、特に私たちの生活に影響が大きくなりそうな項目をピックアップしてみます。
特に影響が大きいと思われる改正点
①社会保険の加入対象者の拡大
②在職老齢年金の限度額引き上げ
③厚生年金の標準報酬月額の上限引き上げ


社会補保険の加入対象者の拡大
短時間労働者(パート社員等)の厚生年金加入要件が見直され、段階的にすべての事業所で短時間労働者も厚生年金の強制被保険者となります。現在は社会保険の被保険者51人以上規模の事業所までが、短時間労働者を厚生年金に加入させる対象でしたが、段階的に被保険者数の規模が縮小され、全事業所で対象となる見直しです。
個人事業所での社会保険の適用業種も拡大されます。現在、常時5人以上雇用する事業所で、法定17業種に該当する事業所が社会保険の強制適用事業所とされており、法定17業種以外は任意適用事業所とされていますが、改正後は全ての常時5人以上雇用する事業所が強制適用事業所となる見直しです。
在職老齢年金の限度額引き上げ
老齢厚生年金受給年齢に到達後(原則65歳)も、老齢厚生年金を受給しながら就労する(厚生年金に加入する)者については、在職老齢年金制度の対象となり、年金受給額と賃金額が一定の限度額を超えた者は、老齢厚生年金の支給額を減額されています。この限度額が月50万円から月62万円に引き上げられます。(2026年4月より)
65歳以降に在職老齢年金制度が原因で就労制限あるいは離職する方の一定数の就労促進が目的だと考えられます。
厚生年金の標準報酬月額の上限引き上げ
社会保険料を納付するための標準報酬月額設定について、厚生年金の等級上限は月額65万円ですが、これが段階的に月額75万円に引き上げられます。
(出典)厚生労働省 年金制度改正法案を国会に提出しました