経団連が提案する2025年度規制改革要望の一部を紹介します。
年次有給休暇5日取得義務の見直し提案
現状の課題
現在の法律では、企業は年10日以上の有給休暇が付与される全ての従業員に対し、1年以内に5日間の有給休暇を取得させることが義務付けられています。これは長時間労働を防ぐための制度です。しかし、この一律の義務が、以下のようなケースで実態にそぐわない問題を生んでいます。
・年度の途中で復帰する従業員
育児休業などから年度の終盤に復帰した場合、残りの勤務日数が少ないにもかかわらず5日間の休暇を取らせると、実質的な労働日に対する休暇の割合が過大になります。これは、復帰して働きたいという意欲を削ぐことにもつながります。
・急な休業者や退職者
年度途中に急に休職したり、退職を申し出たりした従業員に対し、残された短い期間で5日間の休暇を取得させることは困難です。特に、引き継ぎ業務の妨げになったり、企業の管理負担が過大になったりする問題があります。
提案内容
上記の問題を解決するため、年度の途中で復帰・休業・退職する従業員については、年5日の取得義務日数を「その年度の勤務可能な日数に応じて按分する」という見直しを提案します。
例えば、1年間のうち半分しか勤務しないのであれば、取得義務も半分の2.5日とするような柔軟な対応を可能にすべきだという主張です。
現実問題として、年5日の取得をさせることができないケースは発生し得ます。一律5日義務化ではなく、柔軟性を持たせた制度にする意義はありそうです。
経団連 2025年規制改革要望(2025年9月16日)
2025年度規制改革要望① ~経団連~
