労働基準法解説 ~第6条(中間搾取の排除)~


第6条 中間搾取の排除
1 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

この条文は、「誰であっても、法律で特別に認められている場合を除いて、他人の労働に割り込んで、そこからお金を儲けてならない」ということを定めているものです。過去に存在した悪質な「人身売買」や「口入れ屋」のような制度、あるいは劣悪な環境で労働者を働かせ、その賃金の一部を不当に搾取する行為から労働者を守るために設けられました。労働者の自由な職業選択や、労働によって得た対価を正当に受け取る権利を保障するための、非常に重要な規定です。労働者の賃金や労働の自由を不守るために、不当な仲介者が労働者の働きから利益を得ることを厳しく禁じている、ということです。

ただし、「法律に基いて許される場合の外」とされているため、法律で特に認められているケースは除かれます。
・代表的なのが「労働者派遣事業」です。これは「労働者派遣法」という別の法律に基づいて、派遣会社が労働者を企業に派遣 し、その対価として企業から料金を受け取り、労働者には賃金を支払うという合法的なビジネスモデルです。
・「労働者供給事業」も、職業安定法などに基づいて、厚生労働大臣の許可を受けた労働組合などが非営利で行う場合に限り認められています。