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国民年金の仕組み14_障害基礎年金<年金支給額>

障害基礎年金の金額

では、実際に障害基礎年金の申請が通った場合、障害基礎年金として支給される金額はどれほどなのでしょうか。
老齢基礎年金では、満加入年数40年(480月)に満たない場合、加入月数に応じて金額が減額補正される仕組みでした。
遺族基礎年金では、本人死亡という事情を考慮して、受給するための受給要件を満たした場合、老齢基礎年金の満額(満加入年数加入時の支給額)が遺族基礎年金として支給されました。
では障害基礎年金の金額はどうかと言うと、遺族基礎年金と同じく受給要件を満たした場合、老齢基礎年金の満額(満加入年数加入時の支給額)が障害基礎年金として支給されます。
ただし障害基礎年金の場合、障害の程度差が生活へ影響する度合いが大きいため、障害等級に応じて次の通り金額に差異が設けられています。

障害基礎年金の基本支給額

前述のとおり、障害基礎年金の受給要件を満たした場合、老齢基礎年金の満額相当額を受給することができます。
老齢基礎年金のように保険料納付済み期間40年(480月)の要件はありません。
ただし障害等級の1級・2級別に、下記のとおり基本支給額に差異が設けられています。

障害等級1級該当  障害基礎年金 = 780,900円 × 改定率 × 1.25 ⇒ 老齢基礎年金の満額相当額×1.25(※)令和1年度は975,125円
障害等級2級該当  障害基礎年金 = 780,900円 × 改定率 ⇒ 老齢基礎年金の満額相当額(※)令和1年度は780,100円

障害基礎年金の子の加算額

障害基礎年金は、以下の条件に該当する子があるときは、子の数に応じて子の加算額も支給されます。

1.加算対象となる子
以下の①②の要件に該当する子で、現に障害年金受給権者によって生計を維持していること。
①18歳に達する日以後、最初の3月31日までにある子(18歳年度末までの子)
②20歳未満であって、障害等級(1級または2級)に該当する状態の子(※20歳年度末ではありません)

2.子の加算額
子の加算額は、子一人に対して次の金額が加算されます。

第1子・第2子 224,700円 × 改定率 (※)令和1年度は224,500円
第3子以降 74,900円 × 改定率 (※)令和1年度は74,800円

3.子の加算額の改定事由
子の加算額に関しては、以下の事由が生じた月の翌月から増減改定が行われます。

<増額改定>
・受給権発生日の翌月以降、新たに子を有するに至った場合(実子、養子を問わない)

<減額改定>
生計同一関係にある子のが以下の状況になった場合に、当該事実の発生日の翌月から減額改定されます。
・子の死亡
・子が受給権者による生計維持関係から外れた場合
・子の婚姻(事実上の婚姻関係を含む)
・子の受給権者の配偶者以外との養子縁組(事実上の養子縁組を含む)
・子の受給権者との離縁
・子が18歳年度末を過ぎた場合(障害等級(1級または2級)にあるときを除く)

・障害等級(1級または2級)の状態を脱した時(18歳年度末までにあるときを除く)
・20歳になったとき

障害の程度が変わった時の年金額改定

障害基礎年金受給者が、その障害の程度が変わった時は、次の手続きにより年金額が改定されます。

1.厚生労働大臣の診査による年金額改定

厚生労働大臣による職権での障害の状態の診査が行われます。
具体的には、厚生労働大臣が指定する年の指定日(受給権者の誕生日の属する月の末日)までに、障害状態確認届(更新手続き用の診断書)を日本年金機構に提出することを求められます。
この診査を経なければ、受給権者は継続して障害基礎年金を受給することができません。

2.受給権者の請求による年金額改定

障害基礎年金の受給権者は、その障害の程度が増進したことが明らかである場合、厚生労働大臣に対して障害の程度が進んだことを申出て、障害基礎年金の額改定を申請することができます。ただし申請する日は、次の日から起算して1年を経過した日以後でなければなりません。
①障害基礎年金の受給権取得日
②厚生労働大臣による職権診査日

3.その他障害による受給権者

障害基礎年金の受給権者に、新たに障害等級(1級または2級)に該当しない程度の障害(その他障害)が発生することがあります。
その他障害により障害の程度が進み、その他障害の認定日以後65歳に到達する前日までに、前後の障害を併合した障害の程度が既存の障害の程度より増進した時は、厚生労働大臣に対して、65歳に到達する前日までに請求することにより障害基礎年金に年金額改定を請求することができます。
請求するための要件は、以下の通りです。

要件① 「その他障害」の初診日要件を満たすこと
内容は原則的な障害基礎年金と同じ。

障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師などの診察を受けた日を「初診日」と言います。
同一の病気やケガについて、いくつか転医した場合は、一番初めに医師などの診察を受けた日が「初診日」となります。
初診日においては、次の①②いずれかの状況であること。
①初診日において、国民年金の被保険者
②初診日において、国民年金の被保険者であった者であって、60歳以上65歳未満の日本国内の住所を有する者

要件② 「その他障害」の保険料納付要件を満たすこと
内容は原則的な障害基礎年金と同じ。

初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がある場合は、初診日の前日において、次の①②のいずれかの要件を満たすこと。
保険料納付要件①<原則>
死亡日が含まれる月の前々月までの被保険者期間のうち、国民年金の①保険料納付済み期間(含む厚生年金保険の被保険者期間)、②保険料免除期間の合計が3分の2以上あること。
保険料納付要件②<例外>
死亡日が2026年(令和8年)4月1日前にある時は、死亡した者が65歳未満であれば、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間が無いこと。(保険料納付済み期間か保険料免除期間であること。)
(※)初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がないものは上記の保険料納付要件は問われません。

障害基礎年金の失権事由

障害基礎年金は、次の事由に該当した場合失権し受給権が消滅します。
①受給権者の死亡
②厚生年金保険法に規定する障害等級1~3級に該当しない者が、65歳に到達したとき
※ただし65歳到達時に、障害等級1~3級に該当しなくなった日から3年を経過しない者を除く
③厚生年金保険法に規定する障害等級1~3級に該当しなくなった日から3年を経過したとき
※ただし3年を経過した時に65歳未満である者を除く

このほか、障害等級の併合認定(前後の障害を併合して新しい障害等級を認定されること)により新たな障害基礎年金の受給権を取得した時は、
従前の障害基礎年金の受給権は消滅します。

障害基礎年金の支給停止事由

<原則>
①同一の傷病による障害について、労働基準法に規定される障害補償(労働基準法77条)を受けることができるときは、6年間支給が停止されます。

(障害補償)
第七十七条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治つた場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第二に定める日数を乗じて得た金額の障害補償を行わなければならない。
別表第二 身体障害等級及び災害補償表(第七十七条関係)
等級
災害補償
第1級
1340日分
第2級
1190日分
第3級
1050日分
第4級
920日分
第5級
790日分
第6級
670日分
第7級
560日分
第8級
450日分
第9級
350日分
第10級
270日分
第11級
200日分
第12級
140日分
第13級
90日分
第14級
50日分

②障害等級(1級または2級)の相当する程度の障害の状態ではなくなった時は、障害の状態の該当しない間支給停止されます

<例外=20歳前の傷病による障害基礎年金>

①恩給法に基づく年金たる給付、労災保険法に基づく年金たる給付を受けるときは、その受ける間支給が停止されます。
②刑事施設、労役場、少年院などの拘禁施設に収容される時は、その収容される間は支給が停止されます。
③日本国内に住所を有しない時は、その有しない間は支給が停止されます。
④受給権者の前年所得が一定額を超過した時は、その年の8月から翌年7月まで支給が停止されます。
※所得状況は毎年確認されますので、該当しなくなった時は支給停止は解除されます。

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