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国民年金の仕組み6_老齢基礎年金<受給要件>

老齢基礎年金の受給要件

老齢基礎年金は、国民年金の加入者であった者(国民年金第2号被保険者含む)の老後の生活費保障として、
満65歳になった時に支給が開始されます。
ただし、受給するためには次の要件①から③をすべて満たすことが必要です。

①保険料納付済み期間又は保険料免除期間があること
老齢基礎年金の額の計算基礎となる期間(保険料納付済、保険料免除期間)が1か月以上無いと、年金額はゼロとなります。

②保険料納付済み期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上あること
この要件を受給資格期間といいますが、以前は「25年以上」必要でしたが、2017(平成29年)年8月1日からは、
改正により「10年以上」に短縮、緩和されました。
なお「10年以上」には、原則と例外があります。
(原則)保険料納付済期間保険料免除期間を合算した期間が10年以上必要
(例外)10年以上を満たさない
場合、更に合算対象期間を合計した期間が10年以上であれば良い

③65歳に達したこと

受給資格期間の詳細

年金を受給するためには受給資格期間を10年以上有する必要がありますが、受給資格期間(うち合算対象期間)は
大変複雑なことになっています。それは、過去の国民年金法の改変の歴史が関係しています。
法律改正に伴う特例や救済措置などがどんどん追加されたことが、複雑になった要因です。
では、受給資格期間をもう少し詳しく見てみます。

(保険料納付済み・免除期間)
①第1号被保険者として、保険料納付、免除、猶予期間(※)
②第2号被保険者期間(被用者年金の加入期間)
③第3号被保険者期間
(※)猶予期間=学生納付特例期間、納付猶予期間は、受給資格期間にはカウントされますが、年金額には反映されません。

(合算対象期間)
~昭和61年4月1日以降(新国民年金法)~
④日本国籍を有して海外に居住し、国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑤平成3年3月31日までの昼間部学生で、国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑥第2号被保険者のうち、20歳未満および60歳以上の期間
⑦国民年金に任意加入したが、保険料未納の期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑧昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した者又は永住許可を受けた者で、国籍取得・永住許可前の海外居住期間(20歳以上60歳未満に限る)

~昭和36年4月1日から昭和61年3月31日まで(旧国民年金法)~
⑨第3号被保険者で、国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑩被用者年金の老齢年金受給権者およびその配偶者で、国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑪被用者年金の老齢年金受給資格期間を満たした者とその配偶者で、国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑫被用者年金の障害年金受給権者とその配偶者で、国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑬被用者年金の遺族年金受給権者で、国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑭昼間部学生で、国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑮昭和36年4月以降の国会議員であった期間(昭和55年4月以降にあっては、国民年金に任意加入しなかった期間)(20歳以上60歳未満に限る)
⑯昭和37年12月以降の地方議員であった期間で、国民年金に任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑰昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した者又は永住許可を受けた者で、外国籍のため国民年金の任意加入が除外されていた昭和56年12月までの在日期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑱昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した者又は永住許可を受けた者で、海外在住期間のうち、国籍取得又は永住許可前の期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑲日本国籍を有して海外に居住していた期間(20歳以上60歳未満に限る)
⑳厚生年金保険、船員保険の脱退手当金を受けた期間‘(ただし、昭和61年4月以降65歳の達する日の前月までに保険料納付済期間がある者)
㉑国民年金の任意脱退の承認を受けて、被保険者にならなかった期間(20歳以上60歳未満に限る)
㉒被用者年金の被保険者期間のうち、20歳未満および60歳以上の期間
㉓国民年金に任意加入したが、保険料未納の期間(20歳以上60歳未満に限る)

~昭和36年3月31日以前(旧国民年金法の施行前)~
㉔被用者年金の被保険者期間(昭和36年4月以降に引き続き被保険者期間がある場合)

以上、①から㉓までの期間を合計した期間が10年以上あれば、受給資格期間を満たしたこととなります。

出典:日本年金機構 合算対象期間

合算対象期間は、大変複雑でわかりにくいため、下記に図表化しました。

 

合算対象期間とは<別名カラ期間>

受給資格期間10年以上を満たす場合、老齢基礎年金が支給されますが、注意しなければならない点があります。
それは、合算対象期間は年金支給額には一切影響しないという点です。
受給資格を満たさないための救済措置として設定された「合算対象期間」は、受給資格10年以上を満たすためだけに
カウントすることが認められた特例の期間です。
そもそも保険料を納付していないため(免除でもなく)、年金支給額への反映は一切ありません。
そのため別名「カラ期間」とも呼ばれています。
なお受給資格期間がギリギリの方は、年金記録をしっかり調べると合算対象期間が発見され救済される場合もあります。

厚生年金保険の第3種被保険者期間の特例

とにかく国民年金は特例だらけです。
被用者年金の第3号被保険者(坑内員又は船員)であった期間も、
特例で月数をプラス調整する仕組みがあります。

①昭和61年3月31日までの期間
→第3種被保険者期間×4/3=特例適用後の被保険者期間
②昭和61年4月1日~平成3年3月31日の期間
→第3種被保険者期間×6/5=特例適用後の被保険者期間
③平成3年4月1日以降の期間
→第3種被保険者期間×1/1(調整なし)

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