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11.92019
国民年金の仕組み15_未支給年金
目 次
死亡した場合の年金支給
年金の受給権が発生し手続きをすると、実際に年金が支払われるようになります。年金は偶数月(偶数月の15日)ごとに、支払月の前2か月分の年金額が後払いで支給されます。
人間はいつか必ず死亡しますが、死亡した場合、年金の支給も停止されることになります。年金の支給開始は、受給権発生月の翌月分からですが、支給停止は、死亡した日が属する月分までとなります。年金は後払いのため、死亡時には必ず未支給(後払い=未支給)の年金が発生することが避けられません。
実務上の話をすると、死亡時期と年金の支給事務手続きの関係で、たまたま未支給年金が発生せず、死亡後に死亡月分までの年金が支払われていることもあります。しかしそれは、事務手続き上の死亡情報伝達のタイムラグによるもので、本来、死亡後は年金支給が停止されるのが筋なのです。
未支給年金の支払い請求者
受給権者が死亡した場合、その時点で年金支給が停止されるのが本来処理だと申し上げました。その結果、年金後払いの原則により、必ず未支給年金が発生します。死亡した月分までの年金は支給されますから、未支給年金は誰かが支払いの請求をして支払われなければなりません。
未支給年金の請求権者は、以下の2つの要件を満たす者が該当します。
一定範囲内の親族
優先順位1 配偶者
優先順位2 子
優先順位3 父母
優先順位4 孫
優先順位5 祖父母
優先順位6 兄弟姉妹
優先順位7 上記以外で3親等以内の親族
生計維持関係にあること
受給権者の死亡の当時、受給権者と生計を同じくしていたこと(生計同一関係)が要求されますが、生計維持関係までは必要ないとされています。
生計同一関係と生計維持関係
生計同一関係と生計維持関係とはよく混乱されますが、以下の点で両者は相違しています。
生計同一関係
生計同一関係とは、当事者と生計を同じくしていたことで足ります。具体例として一番わかりやすいのは、同居の事実です。
生計維持関係
生計維持関係に関しては、生計同一関係に加えて、当事者の収入が一定以下であることも要求されます。
実務上の未支給年金手続き
前述したとおり、死亡時期と年金の支給事務手続きの関係で、たまたま未支給年金が発生せず、死亡後に年金が支払われていることもあります。そのような場合、未支給の年金は実際にはありませんが、未支給年金の請求手続きは必ずしなければならないことになっています。受給権者が死亡した場合、その死亡の情報は住基情報連携によって年金事務にも伝達されるのですが、年金手続きは請求主義をとっているため、本人への年金支給を止めるための手続きとして、未支給年金の請求が必要とされています。未支給年金の請求をもって、年金支払いを終了させる手続きとなるのです。