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国民年金の仕組み5_年金額の自動改定の仕組み

年金額は毎年改定されます

基礎年金の金額は、毎年改定されることをご存知でしょうか。
年金制度は、個人として保険料納付から受給までの長期間にわたる制度で、日本の社会保障制度の根幹部分ですから、
制度の長期安定性が何より求められます。
長期安定性を担保するためには、その間の物価変動や生活水準、貨幣価値などの影響を勘案する必要があります。
そうしなければ、年金支給額の実質的な価値が変わってしまうからです。

国民年金法の4条以下に、次のように規定されています。

(年金額の改定)
第四条 この法律による年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならない。
(財政の均衡)
第四条の二 国民年金事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない。
(財政の現況及び見通しの作成)
第四条の三 政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならない。
2 前項の財政均衡期間(第十六条の二第一項において「財政均衡期間」という。)は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とする。
3 政府は、第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

要約すると、次のとおり規定されています。
4条 年金の額は生活水準などの変更に応じて改定する。
4条の2 年金の長期安定性を維持するため、100年を単位として財政の均衡を図る。
4条の3 財政均衡期間の現況確認のため、5年ごとチェックして、結果を公表する。

年金額の自動改定の仕組み

国民年金額の給付額の改定は、毎年度(4月~3月)、年金改定率を改定することにより自動的に行われます。
現在の国民年金の基本年額は780,900円(国民年金法27条)ですから、これに改定率を乗じて得た額が、その年の年金額となります。

(年金額)
第二十七条 老齢基礎年金の額は、七十八万九百円に改定率(次条第一項の規定により設定し、同条(第一項を除く。)から第二十七条の五までの規定により改定した率をいう。以下同じ。)を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。(27条の一部を抜粋)

つまり、毎年の年金額は以下の計算式の結果、算定された金額となります。

年金額 = 780,900円(法定額) × 改定率

では、改定率はどのように求められるのでしょうか?
改定率は以下の計算式の結果、算定された率となります。

改定率 = 前年度の改定率 × 改定基準

改定基準にも原則、例外があり、計算方法はかなり複雑です。
出典:厚生労働省 平成16年 年金制度改正のポイント 年金額の調整の仕組み

令和1年度の年金額

では、具体的に令和1年度の年金額の算出方法を検証してみます、改定率の考え方の理解が進めば幸いです。

年金基本年額 780,900円
・令和1年度改定率 0.999 = 0.998(前年度の改定率) × 1.001(令和1年度改定基準)
・令和1年度改定基準 1.001 = 1.006(a) × 0.998(b) × 0.997(c))
(a)名目手取り賃金変動率 1.006
⇒賃金の変動に物価変動や可処分所得の増減を加味して、実質的な賃金の増減を算定するための指標です。

名目手取り賃金変動率(0.6%)= 物価変動率(1.0%)× 実質賃金変動率(▲0.2%)× 可処分所得割合変化率(▲0.2%)
               (平成 30 年の値) (平成 27~29 年度の平均) (平成 28 年度の値)

(b)マクロ経済スライドによる調整率 0.998
⇒物価や賃金の上昇に伴う年金増額を抑制する仕組みがマクロ経済スライドです。物価上昇ほど年金額が増額されず、結果として実質的な年金額は目減りすることになります。

マクロ経済スライドによるスライド調整率(▲0.2%)= 公的年金被保険者数の変動率(0.1%)× 平均余命の伸び率(▲0.3%)
                               (平成 27~29 年度の平均) (定率)

(c)キャリーオーバー 0.997
⇒過年度のマクロ経済スライド調整で適用できなかった部分の持ち越しです。

マクロ経済スライドの未調整分の累計(▲0.3%)

 

以上の結果より、令和1年度の年金額を計算すると以下のとおりとなります。
780,900円 × 0.999 × 1.001③ = 780,100円

いかがでしたでしょうか、年金額の計算方法がかなり複雑であることはご理解いただけたのではないでしょうか。
毎年1月に、前年度の消費者物価指数が公表されるのに伴い、厚労省より翌年度の年金額の改定が公示されます。
出典:厚生労働省 報道発表資料

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