ブログ
11.252019
国民年金の仕組み20_保険料の免除制度
目 次
保険料免除制度
国民年金は年齢と国内居住の要件に該当する者を強制的に被保険者とし、保険料を徴収しています。基礎年金として位置づけられるため、厚生年金とは異なり保険料は所得に関わらず定額と決まっています。被保険者期間中に、事情により保険料の納付が経済的に厳しい方や、身体の状況などから就労が難しい方、一定の配慮が必要な方に対して、保険料の免除制度が設けられています。
法定免除
法定免除とは、保険料の納付が著しく困難と考えられる一定事由に該当する方に、自動的に保険料を免除する制度です。対象者と対象期間はつぎのとおりです。
①障害基礎年金および障害厚生年金(※)等の受給権者
②生活保護法に基づく生活扶助を受ける者
③一定の療養所等に入所する者
⇒ 上記①~③のいずれかに該当した日の属する月の前月から、該当しなくなった日の属する月分まで、保険料免除期間となります。
申請免除
法定免除には該当しなくても、所得状況などから保険料納付が困難だと考えられる者は、本人の申請により保険料が(全部または一部予)免除される制度です。
①申請全額免除
②申請一部免除(3/4免除、半額免除、1/4免除)
※前年の所得状況に応じて、全額から一部免除(段階的)が適用される。
⇒ 免除申請により面jの適用を受けた期間につき保険料免除期間となります。
学生納付特例
学生については、親の所得とは関係なく、学生本人の所得等に応じて保険料が免除されますが、原則として、卒業後就労した時の追納を期待した制度という側面があります。(後述)
納付猶予
50歳に達する前まで(令和7年6月まで)に第1号被保険者または第1号被保険者だった者で、前年の所得状況に応じて保険料が免除されます。
免除制度と年金給付額
保険料が免除された場合、その期間にかかる年金給付額はどうなるのでしょうか?
全額免除の場合、その期間に年金保険料は一切納付しないため、まじめに全額納付した者との公平を考慮するなら、全額免除期間の給付額への反映はゼロとしても、それはそれで正論だと考えられます。一方で、納付できないやむをえない事情があるからこそ全額免除制度がある訳で、憲法25条の生存権の観点からは、セーフティーネットとして、全額免除であっても給付額には反映するのも正論で良いのではないでしょうか。
では実際はどうかと言うと、免除期間であっても一部年金給付が行われることになっています。その理由は、基礎年金給付費に対する「国庫負担金」の存在があります。
国民年金の給付金については、被保険者からの保険料納付金だけでは給付金を賄えないため、国庫金からの支出でが給付金を一部負担している状況です。現在は、年金給付金の2分の1が国庫負担金で賄われているのです。そこで、仮に全額免除であったとしても国庫負担金の分は年金給付が受けられる状況になっています。
ただし、免除制度のうち「学生納付特例」および「納付猶予」の期間については、年金給付はゼロとなり一切年金額の反映はありません。
それは、この2制度は将来の保険料の追納を前提とした保険料の支払い猶予の性格を有していることを意味しています。
学生時代に支払い免除した保険料は、就職したら追納するようにしてください。将来の受給額がその分減額されてしまいます。
免除制度と受給資格期間算入
原則として、国民年金の受給権が発生するためには、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上あることが必要です。
法定免除、申請免除のいずれも、保険料免除期間として、受給資格期間に合算することができます。
保険料の未納は避けよう
経済状況が厳しく保険料を納付することができない時に、何も手続きしないで放置してしまうと「未納期間」としてカウントされてしまいます。
未納期間は、年金給付への反映がゼロなのは当然として、受給資格期間へ合算することもできない最悪の状況です。
不用意に未納期間を作ってしまい、その影響で受給資格期間10年に足りず基礎年金が支給されない、という悲劇を避けるためにも、もし経済的に厳しいのならば、免除の手続きは行っておくべきです。