ブログ
11.182019
国民年金の仕組み19_脱退一時金
目 次
外国人と国民年金
近年では、日本で働く外国人が増えています。入管法改正により、今後ますますその数は増えるでしょう。では、企業が外国人を雇入れた場合の社会保険手続きがどうなるか、ご存知でしょうか。
社会保険(健康保険、厚生年金)のには、外国籍を理由として被保険者資格から除外する規定はありません。勤務する事業所が強制適用事業所(法律上強制的に社会保険の適用を受ける事業所のこと)であれば、日本人であろうと、外国人であろうと、一定以上の働き方をする従業員は社会保険に加入しなければなりません。※今日は「一定の働き方」の説明は省略します。
国民年金に関しても、外国籍を理由とする除外規定はありません。
「日本に居住する20歳以上、60歳未満の外国人」(※)は国民年金に加入し、国民年金保険料を納付しなければなりません。<国民年金法 第7条より>
※適法に3か月を超えて日本に在留し、住民基本台帳に記載された者、住民基本台帳に記載されない短期滞在者でも日本国内に住所を有することが明らかな者。
外国人の保険料掛け捨て防止制度
国民年金に強制的に加入しなければならない外国人が、日本から出国し日本以外に居住する場合、それまで納付してきた国民年金保険料はどうなるのでしょうか。掛け捨てなければならないのでしょうか。
平成29年の法改正により、老齢年金の受給に必要な保険料納付済み期間が短縮され、かつての25年から10年となりました。しかし、10年を満たせない外国人大勢おり、むざむざと国民年金保険料を掛け捨てて出国するのは気の毒と、外国人の保険料掛け捨てを防止するために、脱退一時金の制度が設けられています。
脱退一時金の支給要件
当分の間、次のすべての要件を満たす者は、脱退一時金にに支給を請求することができるとされています。
①請求日の前日において、請求日が属する月の前月までに第1号被保険者期間の保険料納付済み月数+免除期間月数(免除段階により算入割合は違う)を6か月以上有する者
②日本国籍を有しない者
③現に被保険者ではない者
④老齢基礎年金の受給資格を満たさない者
ただし、以下のどれかに該当する場合は請求することができません。
①日本国内に住所を有するとき
②政令で定める給付の受給権を有したことがあるとき
③被保険者資格を喪失した日後、日本国内に住所を有しなくなって2年を経過したとき
脱退一時金の支給額
脱退一時金は、第1号被保険者期間の保険料納付済み月数+免除期間月数に応じて、つぎのとおりの額が支給されます。
対象月数 | 脱退一時金の額 |
6か月以上、12か月未満 | 49,020円 |
12か月以上、18か月未満 | 98,040円 |
18か月以上、24か月未満 | 147,060円 |
24か月以上、30か月未満 | 196,080円 |
30か月以上、36か月未満 | 245,100円 |
36か月以上 | 294,120円 |
※令和1年度の額