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11.32019
国民年金の仕組み11_遺族基礎年金<遺族の範囲と受給要件>
目 次
遺族基礎年金の受給権者<遺族の範囲>
あなたのご家族に不幸がありました、悲しみに暮れながらも葬儀や相続手続きなど、慌ただしい日々が過ぎていくでしょう。
しかし様々な手続きが一段落し落ち着いた後は、ご家族亡き後の生活がどうなるのか不安が募ると思います。
そんな時のために、国民年金には遺族基礎年金の制度が用意されています。
遺族基礎年金は、次の要件を満たす遺族に対して支給されます。
受給権者① 子のある配偶者
18歳到達年度末又は20歳未満(障害等級1級又は2級に該当)までの年齢で、婚姻していない子と
生計同一関係にある配偶者
この場合、配偶者と子の両方に受給権が発生しますが、配偶者の受給権が優先するため、配偶者に対して対象者全員分の遺族基礎年金が支給されます。仮に18歳到達年度末前に配偶者が死亡した場合、受給権は子に移転します。
受給権者② 子
18歳到達年度末又は20歳未満(障害等級1級又は2級に該当)までの年齢で、婚姻していない子
つまり、遺族基礎年金は母子家庭、父子家庭、遺児に対して生活を保障する年金であることがわかります。
受給権者の補足
・配偶者とは法律上の配偶者だけでなく、事実上婚姻関係にある者も含むとされています。
・子とは死亡した者の法律上の子である必要があります。(再婚した場合は後妻の子でなくても構いません)
・法律上の子は、実子、養子を問いません。
・20歳未満の子は、18歳年度末までに障害の状態(障害等級1級又は2級に該当)に該当することを要します。
遺族基礎年金の受給要件
遺族基礎年金は、被保険者または被保険者であった者が死亡した時に、その遺族の生活を保障するための年金です。
一家の働き手や年金受給者が死亡した時に、一定のご家族に支給されます。
ただし、受給するためには次の要件①から④をすべて満たすことが必要です。
要件① 国民年金の被保険者期間に死亡したとき《短期要件》
国民年金の被保険者期間は、原則として20歳以上60歳未満の全国民です。
要件② 国民年金の被保険者だった者で、60歳以上65歳未満の日本国内に住所を有する者《短期要件》
つまり、国民年金の被保険者期間が終わり、老齢基礎年金の受給開始待ち状態となっている方が対象です。
要件③ 老齢基礎年金の受給権者《長期要件》
既に老齢基礎年金を受給している者で、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が25年以上ある場合に限ります。
要件④ 老齢基礎年金の受給資格期間を満たした者《長期要件》
まだ老齢基礎年金の受給開始年齢に到達していない者で、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が25年以上ある場合。
短期要件の特例<保険料納付要件>
要件①②を短期要件と言いますが、短期要件に該当する者が実際に遺族基礎年金を受給するためには、
次のとおり保険料納付要件をさらに満たす必要があります。
保険料納付要件①<原則>
死亡日が含まれる月の前々月までの被保険者期間のうち、国民年金の①保険料納付済み期間(含む厚生年金保険の被保険者期間)、②保険料免除期間の合計が3分の2以上あること。
保険料納付要件②<例外>
死亡日が2026年(令和8年)4月1日前にある時は、死亡した者が65歳未満であれば、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間が無いこと。(保険料納付済み期間か保険料免除期間であること。)
長期要件の特例<25年要件>
要件③④を長期要件と言いますが、長期要件に関しては25年要件(保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が25年以上)を
満たす必要がありました。ただし、長期要件にも次のとおり特例があります。
25年要件の特例①<合算対象期間の勘案>
25年要件は、原則として、①保険料納付済み期間、②保険料免除期間の合計が25年以上あることを要しますが、満たせない場合、
例外として、①+②の合計に③合算対象期間を合計して25年以上あれば良いとされています。
25年要件の特例②<昭和5年4月1日以前生まれの特例>
旧国民年金法が施行された昭和36年4月1日の時点である程度の年齢に達している方にとっては、60歳までの被保険者期間中に
長期要件を満たすことは困難ではないでしょうか。
そこで25年要件の特例として、下記の生年月日の方は25年を短縮する特例が定められています。
生年月日 | 期間 |
大正15年(1926年)4月2日生~昭和2(1927年)年4月1日生 | 21年 |
昭和2年(1927年)4月2日~昭和3年(1928年)4月1日生 | 22年 |
昭和3年(1928年)4月2日~昭和4年(1929年)4月1日生 | 23年 |
昭和4年(1929年)4月2日~昭和5年(1930年)4月1日生 | 24年 |
25年要件の特例③<被用者年金各法の特例>
被用者年金制度(旧厚生年金、旧共済年金など)は、旧国民年金法が施行された昭和36年4月1日の時点で既に施行済でした。
旧被用者年金制度では老齢年金の受給資格期間が20年だっため、国民年金法との調整を図るため、下記の生年月日の方は25年を短縮する特例が定められています。
生年月日 | 期間 |
昭和27年(1952年)4月1日生以前 | 20年 |
昭和27年(1952年)4月2日~昭和28年(1953年)4月1日生 | 21年 |
昭和28年(1953年)4月2日~昭和29年(1954年)4月1日生 | 22年 |
昭和29年(1954年)4月2日~昭和30年(1955年)4月1日生 | 23年 |
昭和30年(1955年)4月2日~昭和31年(1956年)4月1日生 | 24年 |
25年要件の特例④<厚生年金保険の中高齢者の特例>
厚生年金の中高齢の特例は、旧厚生年金法のなごりによるものです。
旧厚生年金法では、男性は40歳以降、女性は35歳以降に15年加入していれば老齢年金を受給できる特例がありました。
その特例を調整するため、下記の生年月日の方は25年を短縮する特例が定められています。
生年月日 | 期間 |
昭和22年(1947年)4月1日生以前 | 15年 |
昭和22年(1947年)4月2日~昭和23年(1948年)4月1日生 | 16年 |
昭和23年(1948年)4月2日~昭和24年(1949年)4月1日生 | 17年 |
昭和24年(1949年)4月2日~昭和25年(1950年)4月1日生 | 18年 |
昭和25年(1950年)4月2日~昭和26年(1951年)4月1日生 | 19年 |