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国民年金の仕組み18_寡婦年金

寡婦年金とは

寡婦とは、どんな意味でしょうか。

夫と死別または離婚したのち、再婚しないでいる女性のこと(引用:広辞苑)

広辞苑によれば、死別、離婚後に再婚していない女性のことを指しますが、国民年金には寡婦についてのみ支給される「寡婦年金」制度が存在します。寡婦が対象ですから、死別、離婚した夫側(寡夫)には支給されません。では寡婦年金は、どのようなケースで支給されるのでしょうか?

寡婦年金の意義

寡婦年金の意義は、国民年金第1号被保険者(自営業者など)として、老齢基礎年金の受給資格を満たした夫が、老齢基礎年金を受ける前に死亡した場合に支給されます。国民年金保険料の掛け金掛け捨てを防ぐための制度とされています。

寡婦年金の支給要件

寡婦年金は、死亡した夫、受給する妻それぞれに受給するための要件があり、要件を満たして初めて受給することができます。

死亡した夫の要件

1.保険料納付済み期間要件

第1号被保険者として、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前月までに、保険料納付済み期間と保険料免除期間を合算した期間を10年以上(※)有すること。要するに夫が老齢基礎年金の受給権を取得していることに相当します。

※平成29年8月1日より前に夫が死亡した場合は、10年以上ではなく、25年以上が必要です。つまり、老齢年金の受給権発生の短期要件の施行前に死亡した場合は、施行前の25年を満たす必要があるのです。

2.障害年金の受給権者であったことが無い

3.老齢基礎年金の支給を受けたことが無い

受給する妻の要件

1.婚姻関係期間要件

夫が死亡した時点で、10年以上の婚姻関係にあったこと。この場合、事実婚関係も認められるとされています。

2.生計維持要件

夫に生計を維持されていた事。

3.妻が65歳未満であること

寡婦年金の支給期間

寡婦年金の受給権には年齢制限はありません。前述の要件を満たした寡婦には、寡婦年金の受給権が発生します。ただし、実際に支給されるのは以下のとおり支給期間に制限があります。

支給期間=妻が60歳になってから65歳になるまで

従って、妻が60歳未満の時点で夫が死亡した場合は、妻が60歳に達した日に寡婦年金の受給権が発生し、60歳に達した日の属する月の翌月分から寡婦年金は支給されます。一方、妻が60歳以上の時点で夫が死亡した場合は、夫が死亡した日に寡婦年金の受給権が発生し、死亡日の属する月の翌月分から寡婦年金は支給されます。

寡婦年金の額

亡した夫の老齢基礎年金の金額の4分の3相当額

失権、支給停止事由

寡婦年金の失権事由は次の通りです。
1.妻が65歳に達した時(ご自身の老齢基礎年金が支給されます)
2.妻が死亡してしまった時
3.妻が婚姻(再婚)した時(事実婚状態も含みます)
4.直系血族、直系姻族以外の養子となった時
5.繰上げ支給の老齢基礎年金を受給した時

寡婦年金の支給停止事由は次の通りです。
夫の死亡に関して、労働基準法の規定により遺族補償が行われた時は、死亡日から6年間は支給が停止されます。

(参考)労働基準法 遺族補償
労働者が業務上死亡したときは、使用者は、遺族に対して平均賃金の1,000日分の遺族補償を行わなければならない。(労働基準法第79条)

 

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