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障害年金の基礎知識⑤ 〜障害認定日〜

障害認定日

障害認定日とは、申請された事案について障害の程度を認定し、障害等級に該当するか否かを判断する日の事をいい、具体的には初診日(その障害の原因である傷病や負傷についてはじめて医師の診療を受けた日)から1年6か月を経過した日、または1年6か月経過前に治った日(症状が固定した日)のことを指します。従って、まず初診日が決まらないと障害認定日も決まらないことになります。

障害認定日の原則は「初診日から1年6か月経過した日」ですが、例外的に1年6か月経過前であっても、症状が固定した場合(障害年金では「治った」と表現します)、例外的に、その症状が固定した日をもって障害認定日とされます。
では具体的に症状が固定した日とは、どのような状態になったことを言うのでしょうか。
厚生年金では、傷病あるいは負傷による症状が固定し、これ以上良くも悪くもならない状態を、症状が固定した状態(治った)との見解がとられています。

症状が治った場合とは

よって、器質的な欠損や変形(身体の器官のどこかが物理的、物質的に欠けたり変形した状態)、あるいは機能障害が残った場合は、医学的に傷病が治った状態、あるいはその症状が安定して長期に渡って疾病負傷の固定性が認められ医療の効果が期待できない状態であって、かつ、その残った症状が自然経過によって到達する最終の状態に達した場合であるに、「傷病が治った場合」と見られることになります。

リハビリと症状固定

現状維持ではなく、機能回復を目的としたリハビリを行っている場合は、まだ症状が固定した(治った)とは見られません。
・入院中で機能回復のリハビリを継続している場合
・週に2~3回通院して機能回復のリハビリを継続している場合
・老人健康保険施設などに入所して機能回復のリハビリを継続している場合

20歳前障害の障害認定日

20歳前障害で20歳前に初診日がある場合、次のいずれかの日が障害認定日とされます。
①初診日から起算して1年6か月経過した日が20歳より前なら  障害認定日は20歳到達日
②初診日から起算して1年6か月経過した日が20歳より後なら  障害認定日は1年6か月経過日

障害認定日の特例

障害認定日は、原則として初診日から1年6か月経過した日ですが、1年6か月経過前であっても「症状が固定した場合(治った場合)」は、その固定したと認められる日が障害認定日となることは説明しました。では、以下で例外的取り扱いの具体例を提示します。
次の傷病では、1年6か月より前に下記に該当した場合に例外的な障害認定日が認められます。
なお、あくまでも障害認定日の原則は、初診日から1年6か月経過した日となります。初診日より1年6か月より後に該当した場合は、原則通り1年6か月経過日の診断書で障害の程度が判定されます。(認定日請求の場合)

人工臓器の施術により症状固定とみなされるもの

人工透析療法

特例の障害認定日:施行日から3か月経過した日
臓器部位は腎臓で、慢性腎不全や糖尿病性腎症などが主な傷病名とされます

心臓ペースメーカー埋込術

特例の障害認定日:装着日
臓器部位は心臓で、不整脈などが主な傷病名とされます

人工弁装着術

特例の障害認定日:装着日
臓器部位は心臓で、心臓弁膜疾患などが主な傷病名とされます

心臓移植

特例の障害認定日:移植日または装着日

臓器部位は心臓で、重症心不全などが主な傷病名とされます

CRT(CRT-D)・心臓再同期療法

特例の障害認定日:装着日

臓器部位は心臓で、心不全などが主な傷病名とされます

人工血管の挿入置換

特例の障害認定日:挿入置換日

臓器部位は心臓で、胸部大動脈解離、胸部大動脈りゅうなどが主な傷病名とされます

人工関節・人工骨頭の挿入置換

特例の障害認定日:挿入置換日

臓器部位は肢体で、骨折、間接の疾患などが主な傷病名とされます

在宅酸素療法(常時使用)

特例の障害認定日:開始日

臓器部位は呼吸器で、肺気腫や肺線維症の疾患などが主な傷病名とされます

新膀胱造設

特例の障害認定日:増設日

臓器部位は泌尿器で、膀胱疾患などが主な傷病名とされます

尿路変更術

特例の障害認定日:手術日から6か月経過日

臓器部位は泌尿器で、膀胱疾患などが主な傷病名とされます

人工肛門造設術

特例の障害認定日:手術日から6か月経過日

臓器部位は肛門で、直腸がんや肛門外傷などが主な傷病名とされます

不可逆性が医師により証明されるもの

咽頭全摘出

特例の障害認定日:摘出日または用廃日

障害区分は摘出

肢体の切断・離断

特例の障害認定日:切断日・離断日

障害区分は切断・離断

運動機能障害(片麻痺等)

特例の障害認定日:症状固定日(6か月経過日以降)

障害区分は運動機能障害

失明・視野狭窄

特例の障害認定日:失明日など

障害区分は運動機能障害

運動機能の喪失

特例の障害認定日:用廃日

障害区分は運動機能障害

障害認定日と診断書

障害年金の請求を障害認定日請求でする場合、障害認定日以降3か月以内の診断書を裁定請求書に添付しなければなりません。従って、将来的に障害年金の請求をご検討中のみなさんは、将来の請求に備えて、障害認定日後3か月以内の時期にはかかりつけの病院で診療を受けておくことをお勧めします。

障害認定日以降3か月以内の診断書が取れない(この間に病院の診療を受けていない)となると、障害認定日に障害等級に該当するか否かの判断することが不可能となり、障害認定日請求をすることが非常に困難な状況になります。
~その⑥に続く~

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