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9.172021
障害年金Q&A【障害年金と適応障害】
【問】職場でパワハラを受けて、そのため出社することが出来ない状態です。気分が落ち込むこちが多く、病院で診察を受けたところストレス性障害(適応障害)と診断されました。障害年金を申請したいと思います、アドバイスをお願いします。 |
【答】精神疾患のうち神経症に該当する場合は、原則として障害年金の対象とならないという規定があります。もう少し症状を詳しくお聞きしなければ正確な判断ができません。
障害年金の認定基準、第8節(精神の障害)の認定要領A(49ページ)には、以下のとおり記載があります。
神経症にあっては、その症状が長期間継続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。なお、認定にあたっては、精神病の病態がICDー10による病態区分のどの部分に属す病態であるかを考慮して判断すること。 |
認定基準によると、神経症は、一見重症なものであろうと、原則として障害年金の認定対象ではないと言っています。
では、ここでいう神経症は何かということですが、神経症は、国際疾病分類(ICD10コード)では、F4にカテゴリされる精神疾患です。
F40-F48 神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害 |
- F40 恐怖症性不安障害
- F40.0 広場恐怖(症)
- F40.1 社会恐怖(症)
- F40.2 特定の[個別的]恐怖(症)
- F40.8 その他の恐怖症性不安障害
- F40.9 恐怖症性不安障害,詳細不明
- F41 その他の不安障害
- F41.0 恐慌性<パニック>障害[挿間性発作性不安]
- F41.1 全般性不安障害
- F41.2 混合性不安抑うつ障害
- F41.3 その他の混合性不安障害
- F41.8 その他の明示された不安障害
- F41.9 不安障害,詳細不明
- F42 強迫性障害<強迫神経症>
- F42.0 主として強迫思考又は反復思考
- F42.1 主として強迫行為[強迫儀式]
- F42.2 混合性強迫思考及び強迫行為
- F42.8 その他の強迫性障害
- F42.9 強迫性障害,詳細不明
- F43 重度ストレスへの反応及び適応障害
- F43.0 急性ストレス反応
- F43.1 外傷後ストレス障害
- F43.2 適応障害
- F43.8 その他の重度ストレス反応
- F43.9 重度ストレス反応,詳細不明
- F44 解離性[転換性]障害
- F44.0 解離性健忘
- F44.1 解離性遁走<フーグ>
- F44.2 解離性昏迷
- F44.3 トランス及び憑依障害
- F44.4 解離性運動障害
- F44.5 解離性けいれん<痙攣>
- F44.6 解離性無感覚及び感覚脱失
- F44.7 混合性解離性[転換性]障害
- F44.8 その他の解離性[転換性]障害
- F44.9 解離性[転換性]障害,詳細不明
- F45 身体表現性障害
- F45.0 身体化障害
- F45.1 分類困難な身体表現性障害
- F45.2 心気障害
- F45.3 身体表現性自律神経機能不全
- F45.4 持続性身体表現性疼痛障害
- F45.8 その他の身体表現性障害
- F45.9 身体表現性障害,詳細不明
- F48 その他の神経症性障害
- F48.0 神経衰弱
- F48.1 離人・現実感喪失症候群
- F48.8 その他の明示された神経症性障害
- F48.9 神経症性障害,詳細不明
私は医学の専門家ではありませんので、医学的な説明はできませんが、神経症は精神疾患ではあるものの、その原因が心因性(こころ)にあるとされます。治療方法の確立や生活環境の変化などで、病状が長期的に固定するようなものではないと考えられていることが、障害年金の認定対象から除外される理由とされています。
・国民年金法の一部改正について(◆昭和40年06月05日庁保発第21号)
引用:(昭和四〇年六月五日)(庁保発第二一号)(各都道府県知事あて社会保険庁年金保険部長通知)
上記は、昭和40年の古い社会保険庁の通達ですが、この通達で「神経症については、通常その病状が長期にわたって持続することはないと考えられるから、原則として疾患の状態との認定しないものとすること」とされていることが、現在も維持されています。
ただし、診断が神経症(ICD10コード F4カテゴリ)だからと言って、その理由のみで障害年金をあきらめるのは早計です。神経症と複合的に他の精神疾患が現れているケースがあるかもしれませんので。
参考:ICD10コード