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10.282019
相続前の段階で考える障害年金
目 次
相続前に考える障害年金
今日は直接相続の問題では無く、相続前の段階で知っておきたい年金手続きについてのお話しです。
もしかすると、本来なら支給されるべき年金を、無意識のうちに放棄しているかもしれません。
年金制度は3つ
みなさん、年金と聞いて思い浮かぶイメージは何でしょうか?
きっと多くの方が、老後の生活資金(老齢年金)が思い浮かぶのではないでしょうか。
確かに年金=「老後の生活資金」のイメージで間違ってはいませんが、実は年金制度は、3つの年金で構成されていることをご存知でしょうか?
3つの年金とは、①老齢年金、②遺族年金、③障害年金です。このうち私たちにとって圧倒的に身近な年金が、①老齢年金です。
原則として65歳に達したら支給される年金で(注1)、納めた保険料に応じて支給され、老後の生活資金の基礎となる重要な収入源です。
老齢年金は、65歳になる3か月程度前になると、日本年金機構から「年金請求書」という書類で手続きのお知らせが届くため、
通常支給漏れは少ないと言えるでしょう。
遺族年金も、家族のどなたかが亡くなるという事件がきっかけとなる年金なので、特別な事情が無い限り、支給漏れは起こりにくいのではないでしょうか。
しかし、障害年金は、他の2つの年金と比べると、支給漏れ(請求漏れ)が相当に多いと言われています。
なぜでしょうか?
年金受給は申請主義
それは、障害年金が支給されるための要件がわかりにくく、個人ではなかなか支給可否の判断がつかないことに加えて、
自己申請の原則があり、自分自身で申請しなければ支給されないことが理由だと言われています。
障害年金は老齢年金と違い、いくら病院で障害の診断を受けても、障害者手帳を取得したとしても、待っていれば勝手に年金請求書が届くようなことはありません。
そもそも、障害年金の制度があまり認知されているとは言えないことから、仮に支給要件に該当していても、それに気づかず、
本来支給されるべき障害年金を、無意識に放棄しているケースが相当にあると考えられます。
相続と年金は、直接的には関係はありません。
しかし相続の手前には、認知症や何らかの疾患を患うなど、健康問題に直面することも多いと思います。
そんな時、場合によっては障害年金が支給されるかもしれません。
障害年金は、65歳に達していなくても、一定の障害の状態に該当し、かつその他の支給要件を満たしていれば、支給されます。
支給されることによって、ご家族の経済的負担がいくらか軽減されることは間違いありません。
障害年金の面倒な点は、支給を受けるための要件がややこしいことに尽きます。
要件の一つに「一定の障害の状態にあること」とありますが、これは自分自身ではなく医師の診断書による証明が必要となりますし、
その他にも準備しなければならない資料も多く、ハードルが高いと言われます。
しかし、それ以上に、その認知度があまりにも低いことが、更にハードルを高くしていると思います。
障害年金は障害者年金ではない
障害年金は、その傷病の種類を問わず、生活や仕事に制限を受けるようになった場合に支給されるものです。
障害者(手帳所持者)だから支給される、というものでもありません。
相続前の段階には、傷病により生活や仕事ができないケースは多々あると思います。
すべてのケースで障害年金が支給される訳ではありませんが、少しでも障害年金に可能性があると感じたら、調べてみる価値はあるのではないでしょうか?
自分でわからないことは、専門家に相談することも大切だと思います。
(注1)65歳前の特別支給の老齢厚生年金は考慮しません