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相続の手引き14_遺産分割協議書の注意事項

遺産分割協議書の意義

遺産分割協議とは、相続人間で相続財産の分け方について話し合うことを言います。
もし遺言書があり、故人の遺志で遺産分けの指定が記載されていれば、それを指定相続分といい、
遺言書が有効である限り遺言書どおりに遺産分けすることができます。
この場合、遺産分割協議は原則として必要ありません。

なお、たとえ遺言書に指定相続分の記載があったとしても、相続人全員が同意のうえ、
遺言書と異なる持ち分で遺産分割協議をすることは可能とされています。

遺産分割協議の原則

遺産分割協議をするにあたり、以下の原則をよく理解してするようにしてください。
すべて法定された事柄ですので、知らなかったでは済みません。

遺産分割協議は相続人全員で

遺産分割協議を有効に成立させるためには、相続人全員で話し合い全員が分割案に同意することが必要となります
相続人が一人でも欠けた状態の遺産分割協議は無効です。
故意は当然として、過失であっても相続人が全員揃わなければ、無効であることに変わりはありません。
そのためにも、相続人の確定作業は事前にしっかり行ってから遺産分割協議に臨むようにしてください。
参考:相続の手引き6_相続人の確定作業

負債を遺産分割しても債権者に主張(対抗)できない

相続財産は何もプラスの財産だけとは限りません、マイナスの財産も相続財産です。
プラスの財産と同じ感覚でマイナスの財産も遺産分割してしまうことがあると思います。
プラスの財産を多めに相続分けされた人がマイナスの財産もまとめて引き受ける、なんてケースは一見すると問題なさそうです。
マイナスの財産を引き受けなかった人が、もう自分は関係ない、と思ったとしたら大きな間違いです。

マイナスの財産の遺産分割が有効なのは、あくまでも遺産分割を同意した相続人の間だけの話です。
負債の債権者(貸主)に対してはそれを主張(対抗)することができません。
債権者(貸主)があなたに対して返済を要求した場合、あなたは負債の法定相続分を返済しなければなりません。
つまり、相続人間で負債を遺産分割しようが、債権者に対しては負債を法定相続分で相続したままなのです。
あなたが返済した負債(法定相続分)は、後に遺産分割で負債を引き受けた相続人に求償(費用弁償)請求することになります。

負債から免れるためにば、負債の遺産分割結果につき、債権者(貸主)の承諾を得ることが必要なだったのです。(※)
相続人間で負債を遺産分割しても、負債には債権者という利害関係者が存在するため、了解を得ないと主張できないのです。

うっかり相続人間だけで負債を遺産分割をして、安心することが無いように注意してください。

(※)負債から免れるもう一つの方法、それは相続放棄です。ただし、相続放棄は相続財産すべての権利を失うこととなります。
出典:横浜遺言相続サポート室

遺産分割協議書の作成が必要

遺産分割協議で話がまとまった後は、その結果を遺産分割協議書に記載して、相続人全員で署名押印しなければなりません。
単に話し合っただけではその内容を証明することができませんので、是非もので作成が必要な書類です。
なお、遺産分割協議書は、後続する相続手続き(相続財産の所有権移転、名義変更や相続税申告など)でも要求される大切な書類です。

遺産分割協議書の内容は、それぞれの家族ごとに内容も様々です。しっかり納得のいく遺産分割を行ってください。
なお、内容によっては相続税の減額メリットを享受できる場合もあります。
専門家に相談してアドバイスを受けることも検討してください。

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